東京高等裁判所 昭和48年(う)2740号 判決
被告人 瀬戸睿 外一名
〔抄 録〕
右認定の各事実に、司法警察員上田中軍生作成の写真撮影報告書添付の各写真によって認められる本件火炎びんの数量、形態等をあわせ考えると、被告人らにおいて自から右火炎びんを使用して警備の警察官等に対し害を加える目的を有するばかりでなく、前記訪米阻止の意図をもつ他の者又は他の集合体に対し右火炎びんを供給しこれを使用させて共同して害を加える目的の存在をも推認するに十分であって、前記認定の被告人両名の地位・役割・当時の政治的行動・逮捕前の行動・過激集団の当時の動向等を考慮すると、被告人らは、本件逮捕当時ヘルメットを着用していなかったとしても、佐藤首相訪米阻止闘争に際し、被告人らの所属し、又は同調する過激派の集合体である社学同派集団又は同集団員が訪米阻止の志を同じくする他派集団と前記五反田駅付近又は前記大田区民広場等において合流し、警備中の警察官に対し右火炎びんを自から使用するか、又はこれを右集団の構成員に供給して使用させることにより、共同加害の意図を実現する目的で本件火炎びんを携帯して集合しこれを運搬中であったことを認めるに十分である。もっとも、原審第二〇回公判調書中証人杉山通夫の供述記載によれば、被告人瀬戸は、本件逮捕当時警察官に対し、本件火炎びんにつき順天堂大学で研究のため使用するものである旨弁解したことが認められるが、右弁解はたやすく信用することができない。してみると、右と異なり被告人両名について共同加害目的があったことを認めるにたりる証拠がないとして無罪の言渡しをした原判決には事実の誤認があり、右誤認は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、原判決は破棄を免れない。
(吉田 金子 小林眞)